圏論
「中身」を見ずに、「関係」だけで数学を語る
集合論は「点を集めたもの」から数学を組み立てました。圏論は正反対の発想をします。 対象の中身(要素)は一切見ず、対象どうしの間の“矢印(射)”とその合成だけで語る。 群も、空間も、ベクトル空間も、「対象と、それを結ぶ構造を保つ写像」という同じ枠に収まります。
なぜそんな抽象化が役立つのか。すると、まったく別々の分野に現れる構成が「実は同じ形」だと 見抜けるからです。積・商・自由対象・極限——バラバラに見えた概念が、「普遍性」という一つの パターンの現れだと分かる。とどめが米田の補題:「対象は、それが他と結ぶ関係の全体で完全に 決まる」。“あなたが何者かは、あなたと世界との関わり方が決める”——数学に対するこの見方が、 代数幾何・トポロジー・論理・プログラミングを貫く共通言語になっています。
中身でなく“矢印(関係)”で数学を語る。普遍性と米田の補題が分野を横断する。
この分野の地図
基本概念 → 普遍性 → 随伴 → アーベル圏、と抽象化を積み上げます。順番に読むのがおすすめです。
基本概念 — 対象・関手・自然変換
普遍性 — 関係で対象を決める
- 普遍性という考え方 — 始対象・終対象・一意性
- 積・余積・極限 — 双対性を体感
- Hom関手と表現可能関手 — 対象を関係の束として見る
- 米田の補題 — 対象は関係の全体で決まる(圏論の心臓)
随伴関手 — 対になった構成
アーベル圏 — ホモロジー代数の舞台
前提
群論・環論・加群論・位相幾何学・ 線形代数学など、複数分野の例を知っているほど「同じ形」の発見が味わえます。 アーベル圏は ホモロジー代数 と直結します。
準備ができたら 第1章:圏とは から。