線形代数学
「まっすぐな世界」だけを取り出すと、何でも計算できる
世界は曲がっています。でも微積分が教えてくれたのは、「小さく見れば、どんな曲がった関数も まっすぐ(線形)に近似できる」ということでした(全微分=線形近似)。だとすれば、 その「まっすぐな世界」を完全に理解しておけば、あらゆる場面で使い回せます。
線形代数は、その「まっすぐさ」=線形性だけを抽出して調べる分野です。 ベクトルの足し算とスカラー倍、それを保つ写像(線形写像)、それを表す行列。 一見ただの計算術に見えて、実体は「構造を保つ写像を、いちばん見やすい形(対角化・標準形)に 整える技術」です。微積分と並ぶ、現代数学のもう一方の背骨になります。
この分野のゴール:変換を最も簡単な基底で見ること。対角化・ジョルダン標準形・スペクトル定理が到達点です。
この分野の地図
前半(第1〜5章)で空間・写像・行列の言葉を作り、後半(第6〜12章)で行列式・固有値・標準形・ 内積へと登ります。順番に読むのがおすすめです。
- ベクトル空間 — 矢印・多項式・関数を貫く共通の骨格
- 基底と次元 — 過不足のない部品セットと座標
- 線形写像 — 核・像・階数と次元定理
- 表現行列と基底変換 — 写像を行列に落とす/相似
- 部分空間の操作と双対空間 — 次元公式・直和・商・双対
- 行列式 — 面積・体積の拡大率
- 固有値と固有ベクトル — 変換の背骨
- 対角化 — 変換を最も簡単な姿へ
- ジョルダン標準形 — 対角化できないときの標準形
- 内積空間 — 長さと角度、直交射影
- 随伴作用素とスペクトル定理 — 正規行列の直交対角化・特異値分解
- 二次形式 — 正定値・慣性法則、微積分の極値判定へ
前提
高校の行列・ベクトルに触れていれば十分。微分積分学 と並行して読むのがおすすめです。
準備ができたら 第1章:ベクトル空間 へ。