数学の作り方 How to make Mathematics

微分方程式

「今の変化の仕方」から「これからの姿」を復元する

物理も生物も経済も、法則はたいてい「変化のしかた」で書かれます。 速度は位置の変化、加速度は速度の変化、人口の増え方は今の人口に比例…。 つまり自然が私たちに教えてくれるのは、yy そのものではなく yy'yy'' との関係——微分方程式です。

そこで問いはこうなります。変化の法則が分かっているとき、元の量 y(t)y(t) を復元できるか? これは積分の壮大な一般化であり、「未来を計算する」という営みそのものです。

この分野のゴール:まず「解ける形」を覚え、次に「解けなくても解は存在するか」を保証し(ピカール)、 線形理論(etAe^{tA})で系統的に解き、最後に「解を求めずに振る舞い(安定か発散か)を読む」定性理論まで到達すること。

この分野の地図

常微分方程式(1〜8章)→ 偏微分方程式(9〜12章)と進みます。順番に読むのがおすすめです。

常微分方程式

  1. 微分方程式とは・初等解法 — 方向場・変数分離・一階線形
  2. 完全形・ベルヌーイ・リッカチ — 変換で線形化
  3. 解の存在と一意性 — ピカール–リンデレフ(縮小写像)
  4. 定数係数線形微分方程式 — 特性方程式
  5. 非同次線形と定数変化法 — 未定係数法・ロンスキアン
  6. 連立線形系と行列指数関数etAe^{tA}・固有値
  7. 定性理論 — 平衡点・相図・安定性 — 固有値による分類(相図で体感)
  8. リアプノフの方法 — エネルギーで安定性を測る

偏微分方程式(初等)

  1. 一階PDE — 特性曲線法 — 輸送方程式・衝撃波
  2. 二階線形PDEの分類と波動方程式 — 楕円・放物・双曲、ダランベール
  3. 熱方程式とラプラス方程式 — 拡散・調和関数・最大値原理
  4. 解法 — 変数分離・フーリエ・グリーン関数 — 重ね合わせ

前提

微分積分学線形代数学(とくに固有値と行列指数関数)が土台です。 存在定理で 集合と位相(バナッハの不動点定理)、PDEで 複素解析(調和関数)・ フーリエ解析 を使います。

準備ができたら 第1章:微分方程式とは へ。