表現論
抽象的な群を、行列に翻訳して「見える化」する
群は対称性の骨格でした(群論)。でも抽象的な群は、そのままでは扱いにくい。 そこで発想を変えます。群の各元を、具体的な行列に対応させる——群の掛け算が行列の掛け算に なるように翻訳するのです。これが「表現」。抽象的な対称性を、線形代数という計算可能な世界に 写し取る営みです。
翻訳の仕方は一通りではありません。そこで「もうこれ以上小さく分解できない翻訳(既約表現)」を 基本部品として、すべての表現をその組み合わせに分解します。さらに驚くべきことに、各表現から 「指標」というたった数個の数を取り出すだけで、表現の全情報が復元できてしまう。 物理(素粒子・結晶)から数論まで、対称性のあるところ表現論あり、と言える強力な道具です。
群を行列に翻訳し、既約な部品に分解する。全情報は「指標」に凝縮される。
この分野の地図
表現の基礎 → 指標理論 → 具体例と発展、と積み上げます。順番に読むのがおすすめです。
表現の基礎 — 群を行列に、既約に分ける
- 表現とは — 群を行列に翻訳(二面体群を体感)
- 既約表現と完全可約性 — マシュケの定理
- シューアの補題 — 既約間の写像はゼロか同型
- 表現と群環 — 表現=群環の加群
指標理論 — トレースに凝縮する
- 指標 — トレースに凝縮する — 類関数(体感)
- 指標の直交関係 — 重複度を内積で読む
- 指標表 — 行も列も直交(体感)
- 分解と基本等式 — 二乗和・射影公式
具体例と発展 — 実践と応用
- 指標表を作る — S₃・S₄ を構成
- 制限と誘導 — フロベニウスの相互律 — 部分群と全体群
- 応用 — バーンサイドの定理 — 表現論で群論を証明
- コンパクト群・リー群への橋と総まとめ — ピーター–ワイル
前提
群論(共役類)・線形代数学(対角化・内積・トレース)が必須。 加群論(群環・半単純環)の視点で深まり、フーリエ解析・リー群(コンパクト群)へつながります。
準備ができたら 第1章:表現とは から。