群論
「対称性」に、共通の言葉を与える
正三角形をひっくり返しても回しても、同じ形に見えます。方程式 の解 は 入れ替えても方程式は変わりません。ルービックキューブの操作、結晶の構造、素数の並び—— まったく別物に見えるこれらに、実は**同じ「対称性の骨格」**が潜んでいます。
群論は、その骨格だけを抜き出す言語です。対称性とは「ある操作をしても変わらない」こと。 操作を集めて「続けて行う」という掛け算を入れると、群という構造になる。 たったこれだけの約束(結合則・単位元・逆元)から、驚くほど豊かな理論が育ち、 最終的には「5次方程式に解の公式が無い」という有名な事実まで説明します(→体論・ガロア理論)。
この分野のゴール:ラグランジュ・群作用・シロー理論で有限群の構造を解き明かし、 の単純性が 5次方程式の解の公式の不存在を導くところまで到達すること。
この分野の地図
群の基本(1〜5章)→ 群作用(6〜7章)→ 有限群の構造(8〜11章)→ 組み立て(12章)と進みます。 順番に読むのがおすすめです。
群の基本
- 群とは何か — 公理・例・部分群・位数(ケイリー表で体感)
- 巡回群と生成 — 元の位数・巡回群の分類・生成系
- 剰余類とラグランジュの定理 — 剰余類による分割・指数
- 正規部分群と剰余群 — 準同型・核・像
- 同型定理 — 第一〜第三同型定理・対応定理
群作用
- 群作用 — 軌道–安定化群定理・類等式・コーシーの定理
- 数え上げ — バーンサイドの補題 — 対称性を除いた場合の数
有限群の構造
- シロー理論 — 第一・第二・第三定理と群の決定
- 対称群と交代群の単純性 — 符号・ の単純性(n≥5)
- 有限アーベル群の基本定理 — 不変因子・初等因子
- 可解群とべき零群 — 組成列・ジョルダン–ヘルダー
具体的な群の構成
- 群の構成 — 直積・半直積・表示 — 二面体群・四元数群・自由群
前提
集合と写像の基礎があれば始められます。抽象代数の入り口として最適です。 線形代数学(同型定理・アーベル群とジョルダン標準形の対応)と響き合います。
準備ができたら 第1章:群とは何か へ。