リー群(入門)
「回転」のように連続的に動く対称性
群論で扱った対称性は、三角形の裏返しのようにとびとびでした。 でも「平面の回転」は角度 をなめらかに動かせる、連続的な対称性です。 回転群、行列の群、時空の対称性——これらは「群」であると同時に「なめらかな空間 (多様体)」でもある。この二つの顔を併せ持つのがリー群です。
連続だからこそ「微分」ができます。単位元のところで群を微分して得られる“無限小の対称性”が リー環(非可換環・リー環)。そして指数写像 が、無限小 (リー環)を有限の対称性(リー群)へと積み上げる。曲がった群論を、線形なリー環の問題に 落として調べる——この「群 ↔ 環」の対応が、リー理論の心臓です。
群でも多様体でもある対象。指数写像で「無限小の対称性(リー環)」へ線形化して調べる。
この分野の地図
リー群とリー環 → 指数写像と対応 → 構造と表現、と積み上げます。順番に読むのがおすすめです。
リー群とリー環 — 連続対称性を線形化する
- リー群とは — 群かつ多様体・均質性
- 古典群 — GL・SL・O・U・Sp(何を保つか)
- リー環 — 単位元の接空間 — 1パラメータ部分群
- リー括弧 — 無限小の非可換性 — 回転の順序を体感
指数写像と対応 — 無限小から有限へ
- 指数写像 — 直線が群に巻きつく(体感)
- BCH公式と局所同相 — 積が括弧で書ける
- リー群–リー環対応 — 環が群を局所的に決める
- 随伴表現 — Ad と ad・キリング形式
構造と表現 — 群の幾何と表現論
- 閉部分群定理と等質空間 — G/H と球面
- コンパクト群とハール測度 — 平均化の魔法
- 表現論入門 — SU(2)と角運動量 — スピンの分類
- 分類への展望とまとめ — ルート系・標準模型へ
前提
群論・線形代数学(行列・固有値・内積)・多様体論(接空間)が土台。 で 微分方程式、ハール測度で 測度論 を使います。 深化は 非可換環・リー環・表現論 と行き来します。
準備ができたら 第1章:リー群とは から。